旅費交通費の仕訳と出張精算の会計処理

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旅費の仕訳は、お金が動いた回数で決まります。立替精算と仮払の仕訳例、使う勘定科目、消費税とインボイスの扱い、決算でつまずく点を表で整理します。

出張の費用をどう仕訳するかで迷うのは、金額ではなく「いつ、何回お金が動いたか」を整理できていないときです。社員が立て替えたのか、出張の前に概算で渡したのか、会社が直接払ったのかで、起こす仕訳の本数も使う勘定科目も変わります。この記事では、旅費の会計処理を動き方ごとに分解し、仕訳例、消費税とインボイスの扱い、決算でつまずく点まで順に扱います。想定しているのは、出張の精算を回している中小企業の経理・総務の方です。

旅費の仕訳は「お金が動いた回数」で決まる

出張費用の払い方は、実務では次の3つに分かれます。

  1. 立替精算。 社員が自分の財布やカードで払い、帰社後に精算して会社が返す。
  2. 仮払。 出張の前に概算のお金を渡し、帰社後に実費との差額を精算する。
  3. 会社が直接払う。 法人カード、手配会社への請求、交通系ICの会社一括チャージなど。

1と3はお金が動くのが1回、2は仮払と精算で2回です。仕訳の本数はこれに対応します。つまり、迷ったら「会社からお金が出た回数を数える」のが先で、勘定科目を選ぶのはその後です。

先に決める勘定科目

社内で呼び方が揺れていると、月次のたびに判断が発生します。使う科目をあらかじめ決めて、規程か経理マニュアルに書いておきます。

勘定科目使う場面区分
旅費交通費交通費・宿泊費・日当など、出張でかかった費用そのもの費用
仮払金出張前に概算で渡したお金。精算で必ず消す資産
未払金精算額は確定したが、支払いが翌月の給与などになるとき負債
前払費用翌期の出張の航空券や宿泊を先に払ったとき資産
立替金自社の費用ではないもの(他社負担分など)を一時的に払ったとき資産

日当を「雑費」や「福利厚生費」に入れている例を見かけますが、出張に対する支給であれば旅費交通費にまとめたほうが、後から金額を集計しやすくなります。

立替精算の仕訳

社員が45,000円を立て替え、精算額を翌月の給与と一緒に振り込む場合です。以下の金額はすべて、仕訳の流れを追うための仮の数字です。

精算額が確定した日:

借方金額貸方金額
旅費交通費45,000円未払金45,000円

実際に振り込んだ日:

借方金額貸方金額
未払金45,000円普通預金45,000円

その場で現金で返すなら、この2本は1本にまとまります(借方に旅費交通費、貸方に現金)。

仮払を使うときの仕訳

出張前に50,000円を渡し、帰社後の精算で実費が45,000円だった場合です。

仮払した日:

借方金額貸方金額
仮払金50,000円普通預金50,000円

精算した日(5,000円が返ってくる):

借方金額貸方金額
旅費交通費45,000円仮払金50,000円
現金5,000円

実費が仮払額を超えて55,000円だったなら、貸方の仮払金50,000円に加えて、不足分5,000円を現金または未払金で立てます。どちらの場合も要点は同じで、精算の仕訳で仮払金の残高をゼロにすることです。ここが崩れると、決算で正体の分からない仮払金が残ります。

消費税とインボイスの扱い

国内の出張や転勤のために支給する旅費・宿泊費・日当などは、その旅行について通常必要であると認められる部分の金額であれば課税仕入れとして扱われます。一方、海外出張や海外への転勤のための旅費・宿泊費・日当などは、原則として課税仕入れになりません(国税庁タックスアンサー No.6459 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6459.htm )。海外出張の多い会社は、国内分と海外分を仕訳の時点で分けておくと、申告のときに拾い直さずに済みます。

インボイス制度のもとでも、従業員等に支給する出張旅費・宿泊費・日当等のうち、その旅行について通常必要であると認められる部分については、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます(出張旅費等特例)。この「通常必要であると認められる部分」は、所得税基本通達9-3の基準で判定するとされています(国税庁の質疑応答事例 https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/18/08.htm 、所得税基本通達 https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/01.htm )。

また、適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関による旅客の運送についても、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます(国税庁のインボイス制度に関するQ&A https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/105.pdf )。帳簿には、この特例に該当する旨など、決められた事項を書く必要があります。経費精算の摘要欄に何を書かせるかは、ここから逆算して決めてください。

よくある間違い

  • 仮払金が決算まで残る。 精算が遅れた分だけ残高になります。帰社後の精算期限を規程に書き、月次で残高の一覧を確認します。
  • 海外出張分を課税仕入れにしてしまう。 上記のとおり原則は対象外です。渡航先で仕訳を分けます。
  • 日当と実費を二重に精算する。 日当の対象に含めた費目を領収書でも精算できる建て付けにしない、と規程側で決めておきます。
  • 月をまたぐ出張の計上月がずれる。 費用をどの月に載せるかの基準(出張の終了日か、精算の承認日か)を先に決めます。
  • 証憑のない支出をまとめて旅費交通費にする。 公共交通機関のように領収書が出ないものは、経路と金額を記録に残す運用にします。

まとめ

  1. 仕訳の形は、立替・仮払・直接払いのどれかで決まる。お金が動いた回数を先に数える。
  2. 仮払を使うなら、精算の仕訳で仮払金の残高を必ずゼロにする。
  3. 国内と海外で消費税の扱いが違う。帳簿の書き方は、帳簿のみの保存が認められる特例から逆算して決める。

まずは自社の出張が3つのどれに当たるかを数えてみてください。多くの会社は仮払と立替が混在していて、そこが精算の差し戻しの原因になっています。

要確認: この記事の法令・通達に関する記述は、国税庁が公開している情報をもとにしていますが、作成時点で原文のページを直接確認できていません。自社の処理を決める前に、上記の各ページで原文と最新の内容を必ず確認し、判断に迷う点は顧問税理士にご相談ください。