旅費精算書の書き方と差し戻しを減らす欄の決め方

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旅費精算書に法定の様式はありません。申請書・報告書との分担、規程と仕訳から逆算した欄の決め方、差し戻しが起きる4つの型と止め方を表で整理します。

旅費精算書は、出張が終わったあとに、かかった費用と支給額を確定させて支払うための社内書類です。ひな形は無料で配られているものが数多くありますが、欄をそのまま写して使うと「提出は早いのに支払いが遅い」「毎月同じところで差し戻しが出る」という形になりがちです。この記事では、精算書が申請書・報告書と何を分担しているのか、載せる欄を出張旅費規程と仕訳から逆算して決める手順、差し戻しが起きる4つの型とその止め方、締めと支払いの期限の決め方までを順に扱います。想定しているのは、精算のたびに確認で時間を取られている中小企業の経理・総務・経営者の方です。

旅費精算書が確定させるのは支払う金額だけではない

旅費精算書に法令で決まった様式はありません。会社が自社で作る社内書類です。そのため「正しい書き方」は一つではなく、出張の手続き全体のどこを精算書に担わせるかで中身が変わります。

出張の書類は、一般に次の3つに分かれます。どれか1枚にまとめている会社もありますが、分担を意識しないまま欄だけ増やすと、同じことを二度書かせることになります。

書類出す時期確定させること
出張申請書出張の前行くかどうか、区分の前提、仮払の要否
出張報告書帰着後用件の結果、次に何をするか
旅費精算書帰着後支給額、仮払との差額、証憑の所在

精算書が担うのは、いちばん最後の「お金を確定させる」工程です。ここで確定するものは3つあります。

  1. 支給額。実費で払う分と、規程で定額の分(日当など)を分けて合計する。
  2. 差額。仮払いをしている場合、返す金額か追加で払う金額かを確定させる。
  3. 証憑の所在。どの行にどの領収書が対応するかを、後から見て分かる形にする。

3つ目が抜けると、金額は合っているのに確認に時間がかかります。差し戻しの多くは、金額の間違いではなく「どの領収書の話か分からない」ことから起きます。

精算書の欄は、規程と仕訳から逆算して決まる

載せる欄は、出張旅費規程で支給額が何によって変わるかと、経理がその行をどの科目で仕訳するかを見れば決まります。

精算書の欄何を確定させるか抜けると起きること
出張先・出発と帰着の日時日当の日数、宿泊の要否日数の数え方で問い合わせが出る
申請番号(申請書との対応)事前の承認内容との突き合わせ申請と実績のずれに気づけない
区分(交通費・宿泊費・日当ほか)仕訳の科目経理が一件ずつ科目を当て直す
日付・行き先・用件(1行ごと)業務上の必要性私用との切り分けが説明できない
支払った人(本人立替か会社払いか)精算の対象に含めるかどうか会社払いの分を二重に支給する
領収書の有無と番号証憑との対応添付を探すところから確認が始まる
仮払の受領額返金か追加支給かの判定仮払金が帳簿に残り続ける
本人の口座・支給方法支払いの実行支払いの直前で総務に問い合わせが出る

逆に、規程が区分に使っていない項目や、仕訳に影響しない項目は、精算書に置かなくても手続きは回ります。欄が多いほど提出は遅くなるので、迷ったら規程と勘定科目の一覧を開き、その欄が支給額か科目を変えるかどうかで判断してください。

日当を定額で支給する場合、その行に領収書は付きません。実費ではなく定額を支給するものだからです。なお、出張旅費や日当が給与として課税されるかどうかは、所得税基本通達9-3(旅費の非課税の範囲)の考え方によります。所在は所得税基本通達の目次(https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/01.htm )から確認できます。

差し戻しの大半は4つの型でできている

毎月の差し戻しを書き出すと、たいてい次の4つに収まります。型ごとに、止める場所が違います。

  • 証憑の不備。領収書が無い、宛名が個人になっている、明細が付いていない。止める場所は提出時です。「領収書の無い行には理由を書く」欄を先に作り、後から聞かずに済むようにします。
  • 日数と区分の解釈違い。出発が夜、帰着が早朝のときの日当の数え方、宿泊地が規程の区分のどちらに当たるか。止める場所は規程です。精算書で毎回もめるなら、直すべきは精算書ではなく規程の書き方です。
  • 仮払との突き合わせ漏れ。仮払いを受けたことを本人が書かない、経理が残高に気づかない。止める場所は様式です。仮払の受領額の欄を必須にし、空欄のまま提出できない形にします。
  • 規程の上限を超えた申告。宿泊費や等級が規程を超えている。止める場所は申請です。上限を超える見込みが事前に分かる出張は、申請の時点で例外の承認を取る運用にします。

同じ型が続くなら、直す先は担当者への注意ではなく、様式か規程のどちらかです。

締めと支払いの期限は、両側に決める

期限は片側だけ決めても守られません。次の3つを規程に書き、精算書の欄外にも印字しておきます。

  1. 提出の期限。「帰着後◯営業日以内」と決める。月をまたぐ出張の扱い(帰着した月で出すのか、出発した月で出すのか)も同じ節に書きます。
  2. 確認の期限。「提出から◯営業日以内に経理が確認し、不備は理由を付けて戻す」と決める。戻す側にも期限を置くのが要点です。
  3. 支払日。「確認が済んだものを毎月◯日に支払う」と決める。支払日が決まっていないと、立て替えた人が何度も問い合わせることになります。

証憑の保存についても、あわせて決めておきます。紙で受け取った領収書をスキャンして保存する場合は要件があるため、国税庁の電子帳簿保存法に関する一問一答(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/07denshi/index.htm )で自社のやり方が要件を満たしているか確認してください。

よくある間違い

  • ひな形の欄をそのまま使う。自社の規程が区分に使っていない欄が残り、使われないまま提出を遅らせます。
  • 報告書と精算書を1枚にまとめる。用件の結果と金額の確定は、読む人も確認の観点も違います。承認の相手が同じでないなら、分けたほうが速く回ります。
  • 不備の連絡を口頭で済ませる。何が足りなかったかが記録に残らず、同じ不備が翌月も出ます。戻すときは理由を書いて戻します。
  • 仮払金を精算書で消さない。精算書で差額を確定させないと、帳簿に仮払金が残り、決算で洗い出す作業が増えます。

まとめ

  1. 旅費精算書が確定させるのは、支給額・仮払との差額・証憑の所在の3つです。欄はこの3つから逆算して決めます。
  2. 差し戻しは4つの型に収まります。止める場所は精算書とはかぎらず、規程か申請の側にあることが多いです。
  3. 提出・確認・支払いの3つの期限を両側に決め、様式と規程の両方に書きます。

まず自社の直近1か月の差し戻しを書き出し、どの型が多いかを数えてください。多い型の止める場所が、次に直す一か所です。

要確認: この記事の税務・保存に関する記述は国税庁が公開している情報をもとにしていますが、作成時点では原文のページを直接確認できていません。金額や率は本文に書いていません。自社の様式や規程を決める前に、上記のページで原文と最新の内容を確認し、判断に迷う点は顧問税理士にご相談ください。