出張報告書の書き方と載せる項目

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出張報告書に法定の様式はありません。何のために出すのかを決めると項目は決まります。目的別の項目一覧、経費精算書と分ける基準、所感の欄が埋まる書かせ方を表で整理します。

出張報告書は、出張から戻った人が何をしてきたかを社内に残す書類です。法律で様式が決まっているわけではないため、他社のひな形をそのまま持ってくると、書く側は埋めにくく、読む側には必要なことが載っていない、という状態になりがちです。この記事では、報告書を「何のために出すのか」から載せる項目を決める手順、経費精算書と分けるかどうかの判断、所感の欄が埋まる書かせ方、運用でつまずく点までを順に扱います。想定しているのは、出張の様式をこれから整える、あるいは形だけ回っている報告書を立て直したい中小企業の経理・総務の方です。

出張報告書は何のために出すのか

先に決めるのは様式ではなく目的です。実務で報告書が担っているのは、次の3つのどれかです。

  1. 業務の記録を社内に残す。 誰と会い、何が決まり、次に何をするのか。担当者が替わっても引き継げる状態にする。
  2. 支出の裏づけにする。 規程に沿った出張であったこと、その日程で動いたことを、後から説明できるようにする。
  3. 次の判断の材料にする。 その出張に行く価値があったのか、同じ用件なら次はどうするのかを、後で振り返れるようにする。

会社によってどれが重いかは違います。営業が中心なら1、拠点が多く精算の件数が多いなら2、出張費そのものを見直したいなら3が主になります。3つ全部を1枚で満たそうとすると様式が長くなり、書く人の手が止まり、読む人も読まなくなります。主目的を1つ決めて、残りは付け足し、と割り切るほうが続きます。

載せる項目は目的から決まる

目的が決まると、項目は機械的に決まります。下の表は、項目ごとに「何のために載せるのか」と「省けるかどうか」を整理したものです。

項目何のために載せるか省けるか
提出日・氏名・所属誰のいつの出張かを特定する省けない
出張先・出張期間規程の日当や宿泊費を当てはめる前提になる省けない
出張の目的業務上の必要があったことを残す省けない
訪問先と面談した相手社内で引き継ぐときの手がかりになる視察・研修なら簡略化してよい
行動の記録(日付と時刻)日数の数え方や宿泊の要否の根拠になる日当が一律なら簡略化してよい
結果・決まったこと報告書の中身そのもの省けない
次にすること・その期限報告書を次の行動につなげる省くと読まれない書類になる
所感数字に出ない現場の感触を残す設問にできないなら省く
経費の明細精算のため精算書に分けるなら省く

迷ったら「この欄が空でも困らないか」を考えます。困らない欄は、埋める手間の分だけ提出を遅らせているだけです。

経費精算書と1枚にまとめるか、分けるか

小さな会社ほど、報告書と経費精算書を1枚にまとめたくなります。提出が1回で済み、書いてある出張と精算の内容が必ず一致するからです。一方で、分けたほうがよい理由もあります。

  • 承認の経路が違う。 業務の内容を見るのは上長、金額と証憑を見るのは経理です。1枚にすると、どちらかが自分の担当でない欄まで読むことになります。
  • 見せる範囲が違う。 報告書はチームで共有したいが、個人の精算額は共有したくない、という運用はよくあります。
  • 保存の形が違う。 領収書のような証憑は、保存の方法が法令の要件で決まります。報告書は社内の書類なので、同じ棚に入れる必要はありません。

判断の目安は、承認する人が同じかどうかです。上長がそのまま経理も見る規模なら1枚で構いません。承認の経路が分かれているなら分けます。分ける場合は、報告書と精算書の両方に同じ出張番号を振ってください。この番号がないと、後から突き合わせる作業が手で行う照合に戻ります。

所感の欄が埋まらないのは、問いがないから

「所感」とだけ書かれた空欄は埋まりません。何を書けばよいか分からないからです。埋まる様式は、所感を設問に置き換えています。

  • 当初の目的は達成できたか。できなかったなら、足りなかったのは何か。
  • 相手の反応のうち、行く前の想定と違ったことは何か。
  • 次に同じ用件で行くとしたら、変えることは何か。

それぞれ2行か3行でよい、と様式に書き添えておくと、提出までの日数が目に見えて短くなります。長く書かせることが目的ではありません。

税務の側から見た報告書の位置づけ

出張報告書そのものを作成せよという法令の定めはありません。それでも報告書が支出の裏づけとして働くのは、旅費の扱いが「その旅行に通常必要と認められるか」で決まるからです。会社が支給する旅費のうち非課税とされる範囲の考え方は、国税庁の所得税基本通達9-3(法第9条《非課税所得》関係)に示されています。出典は国税庁の通達目次 https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/01.htm です。

「通常必要」の説明は、いくら払うと決めているかを示す規程と、実際にどこへ何日、何の用で行ったかを示す記録の、両方がそろってできあがります。報告書は後者を残す書類です。規程の側の作り方は出張旅費規程の記事に、日数の数え方は日当の計算の記事に分けて書いています。領収書そのものの保存の形は報告書ではなく精算の側の話で、旅費精算の自動化の記事で扱っています。

運用でつまずく点

  • 提出期限を決めていない。 報告書だけ期限がないと、精算より先に忘れられます。規程の精算期限と同じ日に合わせるのが最も簡単です。
  • 同じことを二度書かせている。 出張申請書に書いた出張先・期間・目的を、報告書でもう一度書かせると提出が遅れます。申請の内容を引き継ぎ、報告書では「変わった点」と結果だけを書かせます。
  • 承認者が読んでいない。 読まれない原因は分量です。次にすることの欄を先頭近くに置き、回覧する相手をあらかじめ決めておきます。
  • 様式の版が管理されていない。 各自の手元のファイルが少しずつ違うと、集計のときに項目がそろいません。置き場所を1か所に決めます。

まとめ

  1. 様式より先に目的を決める。載せる項目は目的から決まり、空でも困らない欄は落とす。
  2. 経費精算書と分けるかは承認の経路で決める。分けるなら同じ出張番号を振って突き合わせられるようにする。
  3. 所感は設問に置き換える。問いのない空欄は埋まらない。

まずは直近の報告書を3件読み返して、「次にすること」が書いてあるかを見てください。書かれていなければ、それは記録ではなく提出のための書類になっています。

要確認: この記事の税務に関する記述は国税庁が公開している情報をもとにしていますが、作成時点では原文のページを直接確認できていません。自社の様式や運用を決める前に、上記のページで原文と最新の内容を確認し、判断に迷う点は顧問税理士にご相談ください。