出張の宿泊税・入湯税の勘定科目と消費税の扱い

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宿泊税・入湯税は請求書で税額が区分されているかで消費税の扱いが分かれます。国税庁が名前を挙げているのは入湯税で、宿泊税は挙がっていません。出典付きで整理します。

出張先で払った宿泊税と入湯税は、宿泊そのものの対価ではなく、泊まった本人が納税義務者になる税です。入湯税は、請求書や領収証で税額が区分して示されていれば宿泊施設側の消費税の課税標準に入らないので、精算する会社の側でも課税仕入れの対価に入りません。ただし国税庁の資料が名前を挙げているのは入湯税で、宿泊税は挙がっていません。勘定科目はどちらも宿泊費と分けて、租税公課などの別の科目に置くのが、後から説明しやすい形です。この記事では、一次情報がどこまで言っているか、宿泊税をどう扱えば説明できる形になるか、精算書と規程に何を置くかを順に扱います。想定しているのは、ホテルの請求書に宿泊税の行を見つけて処理に迷っている中小企業の経理・総務の方です。

分かれ目は、請求書で区分されているか

国税庁は、個別消費税のうち軽油引取税・ゴルフ場利用税・入湯税について、これらは利用者等が納税義務者となる税であり、次の2つを満たす場合は消費税の課税標準である対価の額に含めないとしています(国税庁 タックスアンサー No.6313「酒税、たばこ税などの個別消費税の取扱い」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6313.htm )。根拠として挙げられている通達は消費税法基本通達10-1-11です。

  1. 税額に相当する金額を、請求書や領収証などで相手方に明らかにしていること
  2. 預り金または立替金などの科目で経理するなど、税額相当額を明確に区分していること

区分していない場合は、課税標準に含まれます(前掲 No.6313)。

同じ資料は、酒税・たばこ税・揮発油税・石油石炭税・石油ガス税については、メーカー等が納税義務者となって負担し販売価額の一部を構成するため、課税標準である対価の額に含まれるとしています(前掲 No.6313)。税の名前が付いていれば外せる、という話ではありません。

税No.6313 の扱い
酒税・たばこ税・揮発油税・石油石炭税・石油ガス税対価の額に含まれる
軽油引取税・ゴルフ場利用税・入湯税区分していれば含めない。区分していなければ含まれる
宿泊税名前が挙がっていない

一次情報は「受け取る側」の言葉で書かれている

No.6313 が言っているのは、宿泊施設の側の課税標準に入るかどうかです。経費精算をする会社は払う側なので、同じ文をそのまま自分の処理の根拠にしないでください。読み替えの筋はこうです。相手方の課税資産の譲渡等の対価の額に入らない部分は、こちら側の課税仕入れの対価の額にも入りません。だから請求書で区分されている入湯税は、課税仕入れから外します。

区分が効くという形は、別の事例でも示されています。ホテルが客の依頼でタクシー代を立て替えて請求した場合、本来その対価は客が直接支払うべきものなので、立替払であることを明確に区分していれば、その代金を客から領収しても課税の対象にはなりません。一方、運送代金に手数料などを上乗せして受け取る場合は、その全額が課税対象になります(国税庁 質疑応答事例「ホテルの客のタクシー代の立替払」 https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/02/11.htm )。これは宿泊税を扱った事例ではありませんが、見るのは名目ではなく区分だ、という点は同じです。

宿泊税は、名前が挙がっていない

No.6313 が名前を挙げているのは軽油引取税・ゴルフ場利用税・入湯税の3つで、宿泊税は挙がっていません。宿泊税の消費税の取扱いを示した国税庁または e-Gov の資料は、この記事を書いた時点では確かめられませんでした。宿泊税を入湯税と同じ扱いにしてよいかは要確認です。 所轄の税務署と、課している自治体の案内で確かめてください。

経理の側で先にできるのは、どちらの答えになっても説明できる形にしておくことです。

  • 請求書で宿泊税の額が区分されているものを集める。区分されていなければ、そもそも外す条件を満たしません
  • 宿泊税を宿泊費に合算せず、精算書でも帳簿でも別の行に置く
  • 外す扱いにするなら、その判断を誰がいつ何に基づいて決めたかを残す

勘定科目は、区分されているかで決まる

国税庁の資料は勘定科目を定めていません。決めるのは自社ですが、消費税の側で分かれるものを同じ科目に入れると、後から分けられなくなります。

請求書の形宿泊費の本体宿泊税・入湯税
税額が区分して書かれている旅費交通費(課税仕入れ)租税公課で分ける。課税仕入れに入れない(入湯税は前掲 No.6313。宿泊税は要確認)
区分されていない旅費交通費(課税仕入れ)分けられない。対価の額に含まれる(前掲 No.6313)

科目を租税公課にすること自体が税の扱いを決めるわけではありません。決めるのは請求書の区分です。

出張旅費等特例で帳簿だけでよくても、金額の問題は残る

本人に支給する出張旅費・宿泊費・日当のうち、その旅行について通常必要であると認められる部分は、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除ができます(国税庁 タックスアンサー No.6459「出張旅費、宿泊費、日当、通勤手当などの取扱い」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6459.htm )。従業員が立て替えて会社が精算する形なら、宿泊税を含んだ領収書しか無くても、インボイスの保存そのものは要りません。

ただしこの特例は、何を保存するかの話です。課税仕入れの対価の額に何が入るかは、別の問題として残ります。帳簿だけでよいからといって、宿泊税まで課税仕入れに入れてよいことにはなりません。特例の及ぶ範囲と、会社がホテルへ直接払った分が同じ枠に入らないことは出張旅費でインボイスの保存が不要になる範囲にまとめています。

精算書と旅費規程に落とす

  1. 精算書に宿泊税の欄を置く — 宿泊費と同じ欄に入れさせない。区分されているかどうかが、ここで分かる形にする
  2. もらう領収書の形を決めて伝える — 宿泊税が区分して書かれた領収書をもらうように決めておく。合算の領収書しか無いと外せません
  3. 税区分を様式の側で決める — 宿泊費は課税仕入れ、区分された入湯税は対象外。精算のたびに人が決める形にしない
  4. 宿泊税の判断を1か所に書く — 外すのか含めるのか、確認した結果をどこに書くかを決める。出張ごとに答えが変わると、後から直せません

宿泊費の上限や支給方式は出張の宿泊費は実費精算か定額支給か、科目と税区分を含む仕訳は旅費交通費の仕訳と出張精算の会計処理、規程全体の組み立ては出張旅費規程の作り方にあります。

よくある間違い

  • 税の名前が付いているから対価の額から外せると考える。酒税やたばこ税は含まれます(前掲 No.6313)
  • 区分されていない領収書でも、宿泊税の分を自分で計算して外す。外す条件は、税額相当額が区分して示されていることです
  • 宿泊税と入湯税を同じ根拠で処理する。国税庁が名前を挙げているのは入湯税だけで、宿泊税は挙がっていません
  • 出張旅費等特例で帳簿だけでよいから、対価の額に何が入るかも考えなくてよいと考える
  • 自治体ごとに内容が違うことを前提にしない。どの宿泊にいくらかかるかは、課している自治体の案内で確かめてください

まとめ

  • 入湯税は、請求書や領収証で税額相当額が明らかにされ、預り金や立替金などの科目で明確に区分されていれば、消費税の課税標準に含めません(No.6313)
  • 宿泊税は No.6313 に名前が挙がっておらず、取扱いを示した国税庁・e-Gov の資料は確かめられませんでした。所轄の税務署と自治体に確認してください
  • 経理が手を動かすのは、精算書で宿泊税を別の行に置くことと、区分された領収書をもらう決まりを作ることの2つです

決めるのは科目ではなく、請求書の区分が精算書に残る形です。Tabikan は規程に書いた支給の条件を設定として持ち、区分の分からない精算だけを人に見せます。