出張の手土産代の勘定科目と交際費の判定

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出張先で取引先に渡す手土産代は、1人1万円以下の飲食費の除外に乗りません。ただし飲食店で接待した後に同じ店で払う持ち帰り代は飲食費にできます。国税庁の出典付きで整理します。

出張先で取引先に渡す手土産代は、原則として交際費等です。1人当たり1万円以下なら交際費等から外せるという除外は飲食費だけの決まりなので、菓子折りのような物品の贈答はその除外に乗りません。ただし例外が1つあります。飲食店で接待した後に、その店で出している飲食物の持ち帰り代をその店に払う場合は、飲食に類する行為として飲食等のために要する費用にできます。同じ「お土産」でも、どこで何に対して払ったかで答えが変わります。想定しているのは、出張の精算に手土産のレシートが混ざってきて処理に迷っている中小企業の経理・総務の方です。

手土産代は、飲食費ではなく贈答として扱う

国税庁は、交際費等から除かれる飲食費の範囲について、単なる飲食物の詰め合わせを贈答する行為は、いわゆる中元・歳暮と変わらないことから「飲食その他これに類する行為」には含まれないと考えられ、その贈答のために要する費用は原則として交際費等に該当するとしています(国税庁「交際費等(飲食費)に関するQ&A」問3 https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/5065.pdf )。

ここが分かれ目です。交際費等から除かれる飲食費は「飲食その他これに類する行為のために要する費用」と定義されているので、その行為に当たらない贈答は、金額をいくら下げても除外の対象になりません。

なお、このQ&Aは平成18年5月のもので、本文の1人当たりの金額は改正前の5,000円です。現行の金額は後の節に置きました。

例外は、接待した店で払う持ち帰り代

同じ問3には、ただし書きがあります。飲食店等での飲食後、その飲食店等で提供されている飲食物の持ち帰りに要する「お土産代」をその飲食店等に支払う場合には、相応の時間内に飲食されることが想定されるか否かにかかわらず、飲食に類する行為に該当するものとして、飲食等のために要する費用とすることができるとされています(前掲Q&A問3)。

一方、飲食店へ送迎するための送迎費は交際費等に該当し、1人当たりの費用の額の算定で飲食費に加える必要はないとされています(前掲Q&A問4)。

払ったもの飲食費にできるか
接待した飲食店で、その店の飲食物の持ち帰り代を店に払うできる(前掲Q&A問3)
得意先の業務や行事に差し入れる弁当代できる。相応の時間内に飲食されることが想定されるもの(同)
別の店で買った菓子折りを訪問先に渡すできない。原則として交際費等(同)
飲食店への送迎費できない。交際費等。1人当たりの算定にも加えない(前掲Q&A問4)

1人当たりの基準は1万円で、判定は自社の経理方式に従う

飲食等のために要する費用のうち、1人当たりの金額が1万円以下であるものは交際費等から除かれます。令和6年3月31日以前に支出した飲食等の基準は5,000円以下です(国税庁 タックスアンサー No.5265「交際費等の範囲と損金不算入額の計算」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5265.htm )。この判定と交際費等の額の計算は、法人が適用している消費税等の経理処理、つまり税抜経理方式か税込経理方式かにより算定した価額で行います(前掲 No.5265)。

この除外を使うには、次の事項を記載した書類の保存が必要です(前掲 No.5265)。

  • 飲食等のあった年月日
  • 参加した得意先・仕入先等の氏名または名称と、その関係
  • 参加者の数
  • 費用の額と、飲食店等の名称・所在地
  • 飲食等に要した費用であることを明らかにするために必要な事項

持ち帰り代を飲食費に入れるなら、同じ接待の記録に含めて残すことになります。別の日に別の店で買った菓子折りを、この記録に足すことはできません。

相手が自社の役員・従業員だけなら、この除外には乗らない

1人当たり1万円以下の除外には、専ら自社の役員・従業員またはこれらの親族に対する接待等のために支出するものは含まれません(前掲 No.5265)。出張先で部署に配るお土産は、この除外の対象ではありません。

では何費になるのかは、No.5265 では決まりません。要確認です。 福利厚生費として扱えるのか、特定の人にだけ渡すなら給与として扱うのかは、支出の内容と渡し方で変わります。所轄の税務署か顧問の税理士に確かめてください。

交際費等から除かれる費用としては、カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用も挙げられています(前掲 No.5265)。菓子折りがこれらに類する物品に当たるかは、この列挙からは決まりません。ここも要確認です。

交際費等になると、損金不算入の計算に乗る

期末の資本金の額等が1億円以下の法人は、次のいずれかが損金不算入額になります(前掲 No.5265)。

  1. 交際費等のうち飲食等のために要する費用の50%相当額を超える部分の金額。専ら役員・従業員・親族に対する接待等のために支出するものは除かれます
  2. 交際費等の額のうち、800万円にその事業年度の月数を乗じて12で除した定額控除限度額を超える部分の金額

資本金の額等が1億円を超え100億円以下の法人は1の計算だけで、100億円を超える法人は支出した交際費等の額の全額が損金不算入です(前掲 No.5265)。

手土産代が効いてくるのはここです。手土産代は飲食等のために要する費用ではないので、1の計算では50%相当額の側に入らず、超える部分としてそのまま残ります。2で計算している会社では、800万円の枠を使います。

精算書と旅費規程に落とす

  1. 手土産の欄を飲食代と分けて置く — 同じ欄に入れさせると、飲食費にできる分とできない分が後から分けられません
  2. 持ち帰り代は、接待した店の領収書と同じ精算にまとめる — 別の精算に回すと、飲食等のために要する費用にできる根拠が残りません
  3. 相手先と人数を書かせる — 1人当たりの判定も、記録の保存要件も、相手方と人数が無いと満たせません
  4. 税抜か税込かを様式の側で決める — 自社の経理方式で決まるものを、精算のたびに人が選ぶ形にしない
  5. 従業員向けのお土産は別の欄にする — 除外の対象ではないので、取引先向けと同じ行に入れない

規程全体の組み立ては出張旅費規程の作り方、飲食そのものの扱いは出張中の食事代は経費になるか、科目と税区分を含む仕訳は旅費交通費の仕訳と出張精算の会計処理にあります。本人に支給する旅費のインボイスの扱いは出張旅費でインボイスの保存が不要になる範囲にまとめていますが、店で手土産を買った代金は本人への旅費の支給ではないので、同じ枠では読めません。

よくある間違い

  • 手土産代も1人当たり1万円以下なら交際費等から外せると考える。除外は飲食費だけの決まりです(前掲Q&A問3)
  • 接待した店での持ち帰り代まで交際費等に回す。その店に払うものは飲食等のために要する費用にできます(前掲Q&A問3)
  • 古い解説の5,000円を今の基準として使う。5,000円は令和6年3月31日以前に支出した飲食等の基準です(前掲 No.5265)
  • 送迎費を飲食代に足して1人当たりの金額を下げる。送迎費は加えません(前掲Q&A問4)

まとめ

  • 別の店で買って渡す手土産代は、飲食費ではなく贈答なので、1人当たり1万円以下の除外に乗りません(前掲Q&A問3、No.5265)
  • 接待した飲食店で、その店の飲食物の持ち帰り代を払った分は、飲食等のために要する費用にできます(前掲Q&A問3)
  • 経理が手を動かすのは、精算書で手土産の欄を飲食代と分けることと、相手先と人数を書かせることの2つです

科目を先に決めるより、どこで何に払ったかが精算書に残る形が先です。Tabikan は規程に書いた条件を設定として持ち、相手先や人数の欠けた精算だけを人に見せます。