出張のタクシー代は精算できるか、何が要るか

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出張中のタクシー代は電車・バスと保存書類の要件が変わります。インボイスが要る理由、本人に支給する出張旅費として扱える範囲、勘定科目と給与課税の線を国税庁の資料で整理します。

出張中に使ったタクシー代は、業務のための移動であれば経費になりますが、電車やバスと同じ扱いにはなりません。消費税の仕入税額控除で使える「公共交通機関特例」の対象から外れるため、原則として適格請求書(インボイス)の保存が必要です。この記事では、タクシー代だけに起きるこの違いと、本人に支給する出張旅費として処理できる範囲、勘定科目と給与課税の線を、国税庁の資料で整理します。想定しているのは、精算書に貼られたタクシーの領収書をどう扱うか迷っている中小企業の経理・総務の方です。

タクシー代は公共交通機関特例の対象にならない

適格請求書の交付義務が免除される取引として、国税庁は「3万円未満の公共交通機関(船舶、バス又は鉄道)による旅客の運送」を挙げています(国税庁 インボイス制度に関するQ&A 問41「適格請求書の交付義務が免除される取引」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/41.pdf 、消令70の9②)。

ここに並んでいるのは船舶・バス・鉄道の3つだけです。タクシーはこの3つに入らないため、支払った額が3万円未満でも公共交通機関特例は使えません。鉄道なら3万円未満は一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められ、3万円以上になるとその利用に係る適格請求書の保存が要件になります(同Q&A 問105「公共交通機関による旅客の運送」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/105.pdf )。タクシーにはこの金額の線がそもそも無く、最初からインボイスの保存が前提になります。

帳簿だけでよい枠に入るかは「誰に支給したか」で分かれる

帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合の一覧には、公共交通機関特例とは別の項目として「従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費、宿泊費、日当および通勤手当」が挙げられています(国税庁 タックスアンサー No.6496「仕入税額控除をするための帳簿及び請求書等の保存」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6496.htm )。使用人等に支給した金額のうち、その旅行について通常必要であると認められる部分の金額は課税仕入れになり、これらの金額は一定の事項を記載した帳簿のみの保存により仕入税額控除が可能とされています(同 No.6459「出張旅費、宿泊費、日当、通勤手当などの取扱い」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6459.htm )。

つまりタクシー代でも、本人へ支給する出張旅費の一部として精算しているなら、公共交通機関特例ではなく、この枠で考える余地があります。逆に、会社がタクシー会社と契約してチケットや後払いで直接支払っている分は、本人への支給ではないため、この枠には入りません。

払い方保存するもの根拠になる枠
本人が立替え、出張旅費として精算する帳簿(通常必要と認められる部分)従業員等に支給する出張旅費等
会社がタクシーチケット・法人契約で直接払う適格請求書どの免除にも当たらない
同じ出張の鉄道・バス代(3万円未満)帳簿公共交通機関特例

ただし、出張中のタクシー代がこの「出張旅費」に含まれるかは、国税庁の資料で名指しされていません。税理士事務所の案内では、タクシー分はインボイスの保存が要るとする整理も示されています。社内の処理を1つに決める前に、顧問税理士か所轄の税務署に確認してください(要確認)。確認が済むまでは、インボイスの保存を求める運用にしておくほうが、後から戻す手間がかかりません。

帳簿のみで控除するときに帳簿へ書く事項は、出張旅費でインボイスの保存が不要になる範囲で整理しています。

勘定科目は旅費交通費、接待に伴うときは分けて決める

業務のための移動で使ったタクシー代は、旅費交通費として処理するのが基本です。仕訳の形は旅費交通費の仕訳と出張精算の会計処理にまとめました。

迷うのは、得意先の送迎のように接待を伴う場面です。交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいいます(国税庁 タックスアンサー No.5265「交際費等の範囲と損金不算入額の計算」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5265.htm )。

この定義に、送迎の交通費そのものは書かれていません。接待に伴う送迎のタクシー代をどちらの科目で扱うかは個別の判断になるため、自社の基準を1つ決め、同じ場面では同じ科目を使えるようにしておいてください(要確認)。

給与課税の線は「通常必要と認められる範囲」

使用者が役員または使用人に支給する旅行の費用のうち、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内のものは、非課税として扱われます。範囲内かどうかの判定では、支給額が役員・使用人のすべてを通じて適正なバランスが保たれている基準で計算されたものか、同業種・同規模の他の使用者が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるかを勘案するとされています(国税庁 所得税基本通達9-3「非課税とされる旅費の範囲」 https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/02/02.htm )。

転勤や出張などのための旅費は、通常必要と認められる範囲であれば非課税です(国税庁 タックスアンサー No.2508「給与所得となるもの」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2508.htm )。裏を返せば、業務上の必要を超えた分は給与として扱われる余地があります。終電後の帰宅に使ったタクシー代や、鉄道で行ける区間を本人の都合でタクシーにした分がこの範囲に入るかどうかについて、国税庁の資料に金額の基準は示されていません(要確認)。

規程に書いておく4つの線

金額の上限だけを書いた規程は、現場で効きません。タクシーは「いくらまで」より「どんなときに使ってよいか」で揉めるためです。

決めること書き方の例
使ってよい場面鉄道・バスが動いていない時間帯、乗り入れの無い区間、重い荷物の運搬、複数名での同時移動
上限1回あたりの金額、または同区間の運賃相当額
要る書類登録番号・適用税率・消費税額の記載がある領収書
本人負担になる場合本人の都合による利用、業務と関係のない区間

要る書類の欄を「領収書」ではなく「登録番号の記載がある領収書」と書いておくと、現場が受け取る紙が変わります。規程そのものの組み立ては出張旅費規程の作り方にあります。

よくある間違い

  • 鉄道代と同じつもりで、タクシー代も3万円未満なら領収書なしで処理する。公共交通機関特例に入るのは船舶・バス・鉄道だけです
  • 本人に支給する出張旅費の枠で処理しているのに、帳簿に必要な事項を書いていない。帳簿のみで控除するなら、記載事項が要件になります
  • 接待の送迎と業務の移動を同じ科目でまとめ、年度ごとに扱いが変わる

まとめ

  • タクシー代は公共交通機関特例(船舶・バス・鉄道、3万円未満)の対象外です。原則として適格請求書の保存が要ります
  • 本人に支給する出張旅費として扱える範囲なら帳簿のみでよい枠がありますが、タクシー分が含まれるかは名指しされていないため、顧問税理士か所轄の税務署に確認してください
  • 規程では上限額より先に「使ってよい場面」と「要る書類」を決めると、精算の差し戻しが減ります

Tabikan は規程に書いた線を設定として持ち、そこから外れた精算だけを人に見せます。